Pluely v1: 画面共有に映らないTauri製オーバーレイ型アシスタントの実像
The Open Source Alternative to Cluely - A lightning-fast, privacy-first AI assistant that works seamlessly during meetings, interviews, and conversations without anyone knowing. Built with Tauri for native performance, just 10MB. Completely undetectable in video calls, screen shares, and recordings.
ひと目でわかる
- これは何?
- 会議や面接の最中にブラウザタブへ切り替えずにAIを使う、という一点に絞ったデスクトップアプリ。READMEとリポジトリの構成から読み取れる仕組みと、v1でソースが閉じられた理由、そしてGPL-3.0というライセンス表示とのねじれを整理する。
- 誰に向いている?
- 導入を検討すべきなのは、面接や商談のようにタブ切り替えのコストが大きい場面で、かつ自分のAPIキーを持ち込んでローカル保存を前提に運用できる人だ。逆に、ソースを監査したい組織、GPL-3.0の下流利用を前提にフォークしたい開発者、会議ツール側の規約がボット参加や録音を禁じている環境には向かない。
- 商用利用できる?
- 条件付きでできます。GPL-3.0 はコピーレフトのライセンスで、これを含むソフトウェアを配布する場合、そのソフトウェアのソースコードを同じライセンスで公開する必要があります。配布せず社内で使うだけなら、この義務は生じません。
- 今もメンテナンスされている?
- されています。最後のコミットは 63 日前です。
- 何の言語で書かれている?
- 主に TypeScript です(GitHub の言語統計による)。
回答はプロジェクトの GitHub データ(最終同期:2026年9月15日)と当サイトの分析に基づくもので、法的助言ではありません。
オープンソース詳細解説
タブ切り替えという一手が失うもの
Pluelyが解こうとしている問題は、AIの能力そのものではなく、AIを呼び出すまでの操作コストである。READMEは対象場面として「interviews, sales calls, standups, lectures, live debugging」を挙げ、ブラウザタブへの切り替えが「cost you the room」になると説明している。面接や商談では、画面を切り替えた瞬間に相手との視線と間が切れる。Pluelyはそこに着目し、常駐する半透明のオーバーレイとして答えを出す設計を採る。想定利用者は、会話の最中に外部の知識を参照したい個人。チーム向けの共有ナレッジ基盤ではなく、あくまで一人の作業面に重なる道具として作られている。
AskとListen、2モードのデータの流れ
v1は「one translucent overlay with two modes」として再設計された。Askモードでは、テキスト入力、push-to-talkによる音声入力、画面キャプチャのいずれかで質問を作る。キャプチャは全体またはドラッグ選択した領域、あるいはUse imageを有効にして毎メッセージに最新スクリーンショットを添付する形を取る。文書は内蔵OCRを通り、文脈に残って追加質問に使われる。回答はMarkdownとしてストリーミング表示される。Listenモードはマイクとシステム音声を同時に文字起こしし、話者ラベルと言語選択を伴う。自動応答は「when someone asks a question, after every pause, or only when you tap Suggest」の3条件から選ぶ。会話から生成されるフォローアップチップが各回答の下に並ぶ。両モードとも、チャット・会議・文字起こし・ファイルは端末上のSQLiteに保存される。
10MBという数字を支えるTauriの構成
リポジトリの主要言語はTypeScriptで、フロントはReact + TypeScript、シェルはTauri(Rust)という構成がトピックとバッジから読み取れる。READMEはインストーラを9〜16MBとし、Electron系の代替に対して「A fraction」と表現する。ここで効いているのは、Chromiumランタイムを同梱せずOSのWebViewを使うTauriの性質である。起動は100ms未満、CPUとRAMは文字起こし中も最小限と主張されている。ただしこれらはREADMEの記載であり、第三者の計測ではない。サイズの小ささは配布と更新のコストを下げる一方、WebViewの挙動がOSごとに異なるというトレードオフを抱える。
画面共有からの除外はどこまで保証されるか
stealthは本プロジェクトの中心的な売りで、READMEは「excluded from screen capture, absent from recordings and screenshots, never steals focus」と述べ、Dockやタスクバーからアイコンを消す設定にも触れる。実装の詳細はdocs.pluely.comのStealth & privacyに委ねられており、READMEには除外のAPIやOS別の差には踏み込んでいない。ここは評価が割れる点だ。画面キャプチャ除外はOSのウィンドウ属性に依存するため、共有方式(ウィンドウ共有か全画面共有か)やOSのバージョンで結果が変わりうる。READMEの「Invisible on screen shares」はあくまで作者の主張であり、自分の環境と会議ツールの組み合わせで確かめるまで確定しない。
セットアップと設定の勘所
入手はpluely.com/download/{macos,linux,windows}から、形式は.dmg、.msi/.exe、.deb/.rpm/.AppImage。無料プランはアカウント不要で始められ、更新は自動で配信されるとREADMEは説明する。モデルはProプランで200以上のホスト済みモデル(GPT、Gemini、Claude、Llamaなど)を会話中に切り替えられる。APIキーを自分で管理したくない場合はこちら、管理したい場合は「connect any LLM or speech-to-text provider through a curl template」、あるいはClaude Code、Gemini CLI、Codex、Qwen Code、Ollamaといった既存CLIを接続する。つまり設定の中心はプロバイダ接続であり、curlテンプレートを自分で書く前提がある。キーボード操作はグローバルホットキーで召喚・キャプチャ・聴取を担い、オーバーレイにフォーカスが移った後は単一キーで回答と文字起こしをスクロールする。一覧はOverlay shortcutsにある。
クローズドソース化とGPL-3.0表記のねじれ
READMEは「Why is Pluely closed source now?」という節を設け、理由を「Years of open Pluely code kept getting repackaged and sold as clones, and no license or complaint ever stopped it」と説明する。v1は署名済みバイナリとして配布され、コアは無料のまま使えるという立場だ。一方でリポジトリのライセンス表示はGPL-3.0のままで、バッジには「Source: Closed (v1+)」とある。この2つは素直には両立しない。GPL-3.0はバイナリ配布時に対応ソースの提供を求めるからだ。ここは推測を挟まずに言えば、外部から見てv1がGPL-3.0の義務をどう満たしているかはREADMEからは判断できない。ライセンスの解釈は法務の領域であり、本記事は助言を与えない。下流でフォークや再配布を計画するなら、この点は導入前に確認すべき事項として残る。
Cluely代替という位置づけの実際
READMEはPluelyを「The Open Source Alternative to Cluely」と位置づけるが、v1以降はソースが閉じられているため、この表現が指すのは主に配布形態と価格の違いであって、コードの入手可能性ではない。Cluely型の製品は一般にSaaSとして提供され、アカウントとクラウド側の処理を前提とする。Pluelyは逆に、会話・文字起こし・ファイルをローカルSQLiteに置き、プロバイダのキーも端末に留める。この差は、データの所在を自分で管理したい個人には有利に働く。ただしモデル自体はProプランではホスト側で動くため、完全なローカル完結ではない。Ollamaを接続すればその限りではないが、その場合は自分でモデルとマシン性能を用意する必要がある。
導入前に確かめるべき境界
最初に確認するのは、自分の環境でステルスが成立するかである。会議ツールの共有方式を変えて、オーバーレイが映るかどうかを実際に見る。次に、無料枠で自分のキーを使う場合のcurlテンプレートの書式と、CLI接続の対応範囲をdocs.pluely.comで確認する。運用コストの面では、更新が自動配信されるため、バージョンを固定したい現場では向かない。GPL-3.0のままソースが閉じられている状態は、社内ポリシーでソース監査を必須にしている組織にとっては導入の障壁になる。逆に、個人が面接や商談の補助として使い、会話ログをローカルに置いておきたいだけなら、確認すべき項目は多くない。判断の分かれ目は、ステルスが効くかどうかと、ライセンスの整合性を許容できるかどうかの2点に集約される。
編集部の結論
導入を検討すべきなのは、面接や商談のようにタブ切り替えのコストが大きい場面で、かつ自分のAPIキーを持ち込んでローカル保存を前提に運用できる人だ。逆に、ソースを監査したい組織、GPL-3.0の下流利用を前提にフォークしたい開発者、会議ツール側の規約がボット参加や録音を禁じている環境には向かない。最初に確認すべきは、手元のOSで画面キャプチャ除外が実際に効くか、docs.pluely.com の Stealth & privacy と Overlay shortcuts の記述が自分の環境と一致するか、そしてv1のバイナリがGPL-3.0のソース提供義務をどう満たすのかという点である。
コミュニティノート