my-neuro を導入前に読む: Live2D デスクトップ相棒を自前で組むための構成と制約
This project lets you create your own AI desktop companion with customizable characters and voice conversations that respond in just 1 second. Features include long-term memory, visual recognition, voice cloning and LLM training. Compatible with various Live2D customizations.
ひと目でわかる
- これは何?
- my-neuro は Live2D モデル、TTS、LLM、記憶、視覚を組み合わせてデスクトップ上の AI 相棒を作るための JavaScript 製ワークベンチだ。README が示す構成と、実際に動かすまでの手順、そして向かないケースを整理する。
- 誰に向いている?
- 自分の Live2D モデルと声、性格を持ったデスクトップ相棒を、既存のクラウドサービスに依存せず組み立てたい人には候補になる。逆に、設定ファイルを触らずにすぐ使える完成品を求める人、あるいは中国語圏の配布チャネルを使えない人には向かない。
- 商用利用できる?
- できます。MIT は寛容なライセンスで、著作権表示とライセンス表示を残せば、使用・改変・販売が可能です。
- 今もメンテナンスされている?
- されています。最後のコミットは 2 日前です。
- 何の言語で書かれている?
- 主に JavaScript です(GitHub の言語統計による)。
回答はプロジェクトの GitHub データ(最終同期:2026年9月15日)と当サイトの分析に基づくもので、法的助言ではありません。
オープンソース詳細解説
my-neuro が埋めようとしている穴は何か
汎用のチャット UI は、テキストを打ち込んで返答を読むだけの体験に留まる。my-neuro が狙うのはそこではなく、画面の上に常駐するキャラクターが声で会話し、表情と動作を変え、こちらが話している途中でも割り込める、という一連の流れだ。README は「超低遅延:全本地推理、対話遅延は1秒以下」とうたっており、応答速度を設計上の主要な目標に置いている。対象読者は二種類いる。ひとつは Live2D モデルと音声モデルを自分で用意し、性格設定まで作り込みたい人。もうひとつは、作者が同梱したキャラクター「肥牛(fake neuro)」をそのまま使いたい人だ。README は後者向けに、解凍するだけで使える新人向けの統合パッケージを百度網盤で配布していると説明している。つまり、工作台として使う層と、完成品として使う層の両方を想定した作りになっている。
実行時に何が動いているのか
リポジトリは JavaScript が主言語で、トピックに Python も挙がっている。README の計画リストを読む限り、単一のバイナリではなく、複数のモジュールをつないだ構成だ。音声合成は GPT-SoVITS を既定として採用し、記憶は MemOS、Minecraft 内での行動は mindcraft、Web 操作は Microsoft の playwright-mcp を引用していると明記されている。MCP 対応も計画リストに入っており、外部ツールを呼び出す経路が用意されている。視覚については「画像識別を統合し、言語の意図から視覚機能をいつ起動するかを判断する」とあり、常時カメラを回すのではなく、発話内容を手がかりに起動を判断する設計だと読める。音声と字幕は同期して出力され、字幕は中国語、音声は外国語という組み合わせも切り替えられる。TTS モデル自体が外国語のキャラクターを想定した記述だ。
導入手順は README の外にある
この点は最初に書いておく。README にはインストール用のコマンドが載っていない。冒頭で「本項目のデプロイ手順は公式サイトを参照」として mynewbot.com/tutorials に誘導し、初心者向けには百度網盤の統合パッケージを案内している。統合パッケージについては「ファイルパスに中国語、スペース、括弧などの文字を含めないこと」という制約が明記されている。Windows の展開先を選ぶ時点でこの条件を満たす必要がある。完全にローカルで推論したい場合は LLM-studio フォルダに進み、そこにローカルモデルの推論と微調整の手順があると説明されている。第三者の API に依存しない構成を取れる点は、外部サービスへの送信を避けたい用途では意味がある。逆に言えば、npm install に相当する一次情報がこのリポジトリ内にないため、採用判断は公式サイトの手順を読んでから行うのが順当だ。
記憶と性格をどう扱うか
README は長期記憶を「モデルにあなたの重要情報、性格、気性を覚えさせる」機能として挙げ、記憶システムとして MemOS を引用している。会話ログをそのままプロンプトに詰める方式ではなく、外部の記憶コンポーネントに委ねる構成だ。性格については、モデルの微調整とローカル配置の両方に対応すると書かれている。ただし計画リストの「真実の感情:真人の情緒変化状態を模擬し、独自の情緒状態を持つ」は未チェックのままだ。作者は本文で、現在は全機能のおよそ 30% が実装済みであり、持続的な情緒状態の実装を 2 か月以内、ゲームや起床通知などを 6 月 1 日までに、達成度 60% を目指すと述べている。つまり感情表現は約束された機能であって、今ある機能ではない。ここを期待して導入すると裏切られる。
向かないケースと、壊れやすい箇所
第一に、日本語環境での利用は README の想定外だ。配布は百度網盤、チュートリアルは中国語の公式サイト、ライブ配信機能は哔哩哔哩(Bilibili)向けと明記されている。国外のライブ配信プラットフォームへの接続は計画リストで未チェックのままだ。第二に、依存が深い。GPT-SoVITS、MemOS、mindcraft、playwright-mcp はいずれも別リポジトリであり、それぞれの更新に my-neuro 側が追随するとは限らない。音声モデルの学習には相応の計算資源が要る。第三に、肥牛という同梱キャラクターは、作者自身が「neuro sama を模倣したキャラクター」と説明している。公開や配信に使う場合、この位置づけを理解した上で判断する必要がある。ライセンスは MIT だが、同梱キャラクターや引用先プロジェクトの扱いは MIT ライセンスだけでは決まらない。
代替として何を選ぶか
同じ「デスクトップに AI キャラクターを置く」目的でも、アプローチは分かれる。Open-LLM-VTuber は音声対話と Live2D 表示をまとめた構成で知られ、Python 側を軸に据えている点が my-neuro と異なる。my-neuro が JavaScript を主言語とし、MCP 経由で外部ツールを呼び、Minecraft や galgame への接続まで視野に入れているのに対し、前者は会話とアバター表示の範囲に焦点を絞る傾向がある。どちらが優れているという話ではなく、ゲーム内で一緒に遊ばせたいのか、画面の上で会話させたいだけなのかで選ぶ軸が変わる。もうひとつの現実的な選択肢は、クラウドの音声 API と既存の Live2D ビューアを自分でつなぐことだ。この場合は遅延とプライバシーの制御を自分で設計する代わりに、依存するリポジトリの数を減らせる。
保守コストとライセンスの見取り図
my-neuro 本体は MIT ライセンスで、アーカイブはされておらず、直近のリリースは v6.7.2、その二日前に v6.7.1、同日にインストーラ v3.0 が出ている。更新の間隔は短い。活発であることは事実だが、それは同時に、追従する側が頻繁にアップデートを追う必要があるということでもある。前述のとおり GPT-SoVITS や MemOS など外部プロジェクトへの依存があるため、実際の保守コストは my-neuro 単体の更新頻度より大きくなる。ライセンス面では、本体が MIT でも、同梱キャラクターのデザイン、学習に使った音声データ、引用先ツールの条件は別に確認が要る。ここは法的助言ではなく、確認項目の列挙として書いておく。
編集部の結論
自分の Live2D モデルと声、性格を持ったデスクトップ相棒を、既存のクラウドサービスに依存せず組み立てたい人には候補になる。逆に、設定ファイルを触らずにすぐ使える完成品を求める人、あるいは中国語圏の配布チャネルを使えない人には向かない。導入前に確認すべきは、README が示す公式チュートリアル(mynewbot.com/tutorials)の手順が自分の環境と一致するか、そして GPT-SoVITS と MemOS という別リポジトリの依存を自分で保守できるかどうかだ。肥牛(fake neuro)という既成キャラクターが同梱されているが、これは作者自身が neuro-sama を模したと明記しているキャラクターであり、権利関係は自分の用途に照らして判断する必要がある。
コミュニティノート