モデル / データセット
tigicion/dao-code avatar
tigicion/dao-code

Dao Code 道:DeepSeek V4 のプレフィックスキャッシュに賭けたターミナル型コーディングエージェント

Open-source TypeScript terminal coding agent for DeepSeek-V4 — builds on DeepSeek's strong price-performance and ultra-cheap cache pricing, engineering byte-stable prefixes and cache-reusing forks so cross-session memory and a continuous self-correction layer add almost no token cost; 1M context, Skills/MCP/Hooks, Claude Code config compatible.

スター 1,084フォーク 43TypeScriptMIT

ひと目でわかる

これは何?
MIT ライセンスの TypeScript 製 CLI エージェント。バイト単位で安定したシステムプレフィックスとキャッシュ再利用フォークで、記憶と自己修正のコストをほぼゼロに抑える設計。README が示す機構と数字を、導入判断の観点から読み解く。
誰に向いている?
採用を検討すべきなのは、DeepSeek V4 の API キーをすでに持ち、端末から出ずに読み書きとコマンド実行を回したい開発者、とくに中国本土からの到達性を重視する層である。逆に Anthropic のモデルや他社エージェントに設定資産を寄せており、モデル切り替えの予定がないチームには向かない。
商用利用できる?
できます。MIT は寛容なライセンスで、著作権表示とライセンス表示を残せば、使用・改変・販売が可能です。
今もメンテナンスされている?
されています。最後のコミットは 1 日前です。
何の言語で書かれている?
主に TypeScript です(GitHub の言語統計による)。

回答はプロジェクトの GitHub データ(最終同期:2026年9月15日)と当サイトの分析に基づくもので、法的助言ではありません。

オープンソース詳細解説

誰のどの問題を解くのか:到達性と従量課金

README は動機を可用性から説き起こす。Claude Code は Anthropic アカウントとネットワーク到達性を前提とするため、中国本土では導入の敷居が高いと同文書は位置づける。GLM の Coding Plan は枠が取りにくいとも書かれている。Dao Code は MIT で全公開、土台の DeepSeek は登録してすぐ使え、従量課金で、本土から直接届く、というのが主張の骨格だ。対象読者は、モデルの絶対性能より、日々の試行錯誤を回し続けられる単価と接続性を優先する個人開発者や小規模チームになる。逆に、最高性能のモデルを固定で使う前提の組織は最初から対象外である。

バイト安定プレフィックスという中心機構

この設計の要は、システムプレフィックス、ツール表、記憶をバイト単位で安定に保つことにある。DeepSeek のプレフィックスキャッシュはヒット時の価格がミス時の約 1/120 と README は説明し、キャッシュ読み出しの料金が桁で違うことを前提に置く。プレフィックスが 1 バイトでも動けばキャッシュは外れ、単価は跳ね上がる。だから記憶の蒸留や内省をメインの会話に混ぜず、メインのプレフィックスキャッシュを再利用するフォーク上で走らせる。会話本体の前置きを汚さずに追加の推論を載せる、という発想である。`/audit cache` は 4 次元のフィンガープリントでキャッシュを壊した箇所を特定すると記載されている。壊れた原因を追える計器を用意している点は、この手の最適化としては珍しく具体的だ。

記憶と内省をフォークに逃がすトレードオフ

記憶はセッション終了時に嗜好、プロジェクト規約、主要な事実を蒸留し、起動時に現在のコードに対して決定論的に検証する。古い事実は捨て、変わった事実は印を付ける。README はこれを「他は覚えるが誤って覚える」への対抗として書いている。内省層は行き詰まったときや逸脱したときに自己修正する。両者ともメインのプレフィックスキャッシュを再利用するフォークで動くため、追加コストが小さいとされる。ただしこれは、記憶の鮮度を起動時の検証に依存させるという意味でもある。検証が届かない種類の知識、たとえばコードに現れない人間関係や社内の暗黙の合意は、この仕組みでは守れない。設計上の割り切りとして明記しておく価値がある。

導入コマンドと設定の接点

配布は npm パッケージ `dao-code` として行われ、コマンド名は `dao`。Node は 20 以上が要件で、リポジトリの `.nvmrc` がそれを示す。キャッシュ機構を実 API に対して観察するスクリプトとして `npm run accept:cache` が用意されており、複数ターンの会話を走らせて冷間から定常状態へヒット率が上がる様子を見られる。README はこれを機構のデモと位置づけ、コストの数字は別の評価スイート由来だと明記している。設定面では Claude Code の設定と互換で、Skills、MCP、Hooks に対応する。すでに Claude Code 向けの設定資産がある場合、その一部をそのまま持ち込める可能性がある。ただし互換の範囲がどこまでかは README の記述からは確定できない。移行前に自分の設定ファイルで確かめるべき部分である。

公表された数値と、その読み方

README は valibot、date-fns、es-toolkit、sqlglot、hono を含む 7 件の SWE-bench 風タスクで、入力合計 3,886,037 トークン、集計キャッシュヒット率 95.8%(タスク別 85.4% から 97.7%)、DeepSeek V4 Pro の 2026 年 6 月時点の料金で合計 ¥1.07 と記載する。同じトークン列を各社の公式料金で再計算しても、Opus 4.8 比で約 30 倍、Sonnet 4.6 比で約 18 倍安いという比較表も添えられている。ここで注意したいのは、これが同一のトークン列に各社の料金表を当てた計算であり、各モデルに同じタスクを実行させた実測比較ではない点だ。README 自身も「Dao Code の高いヒット率を Claude 側にも有利に与えて」計算したと断っている。ベンチマークも 13/14 や Terminal-Bench 2.1 の 70/89 といった数字が並ぶが、これらは著者側の評価であり、第三者が再現した記録は示されていない。数値の出所が `evals/runs/<task>/run-1/agent.log` と明示され、`/cost` で再生できると書かれている点は、検証可能な形にしようという姿勢として評価できる。

向かない場面と代替の選び方

最大の制約は DeepSeek V4 への依存である。モデル固有のキャッシュ料金と 1M コンテキストを前提に最適化しているため、他モデルに差し替えた瞬間にコスト優位の根拠は薄くなる。プレフィックスキャッシュの割引体系が変われば、設計の前提そのものが揺らぐ。加えて、安全性と真実、現在の指示、コアポリシー、スキルと記憶という憲法風の優先順位が README に示されており、第三者のスキルは作業手順を変えられても安全とキャッシュの下限は越えられない。これは統制としては強いが、スキル側の自由度はその分だけ制限される。代替として Claude Code を挙げるなら、違いは明確だ。Claude Code は Anthropic のモデルとアカウントを前提に体験を組み立て、Dao Code は安いモデルとキャッシュ割引の上に体験を組み立てる。どちらが優れているかではなく、固定費と従量費のどちらを許容するかの選択である。

維持コストとライセンスの見取り図

ライセンスは MIT で、改変と再配布の条件は緩い。商用利用や社内フォークの障壁は低いが、MIT は無保証であり、キャッシュヒット率やコストの数字について著者に責任を負わせることはできない。ここは法務判断ではなく事実として押さえておきたい。更新の頻度は素材から読む限り活発で、v0.4.0 が 2026-06-29、v0.4.1 が 2026-07-08、v0.4.7 が 2026-07-18、最終 push が 2026-09-09 と記録されている。ただしこれはリリース日時の一覧であって、互換性を壊す変更がどの版で入ったかを示すものではない。追従コストを見積もるには、採用時に固定したバージョンを `package.json` に留め、更新時に `npm run accept:cache` を回してヒット率が定常に達するかを確認するのが現実的である。設定が Claude Code 互換である以上、上流の設定仕様が動けば追随が必要になる可能性もある。

編集部の結論

採用を検討すべきなのは、DeepSeek V4 の API キーをすでに持ち、端末から出ずに読み書きとコマンド実行を回したい開発者、とくに中国本土からの到達性を重視する層である。逆に Anthropic のモデルや他社エージェントに設定資産を寄せており、モデル切り替えの予定がないチームには向かない。導入前に確認すべきは 3 点。node が 20 以上であること、README が示す `npm run accept:cache` でキャッシュヒット率が冷間から定常へ上がる挙動を自分の API キーで再現できること、そして `evals/runs/<task>/run-1/agent.log` と `/cost` の数字が自分のタスク種別でも同じ桁に収まることだ。ここが再現できなければ、この設計の売りであるコスト優位は自分の環境では成立しない。

公式情報源

  1. License: MIT
  2. Project website
  3. README
  4. Releases
  5. tigicion/dao-code on GitHub
コミュニティノート

コミュニティノート